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| 年月 | 作品名 | 著者 | コメント | 入試での出題 | おすすめ |
| 2011年 11月 |
苦役列車 | 西村賢太 | 著者がその人生を描写した私小説。芥川賞を受賞し話題となった作品。私小説だけにその心理描写のリアリティがより胸に迫る。描写は生々しく入試出題、教科書掲載はまずされまいと思う。挫折、屈辱、劣等感、嫉妬心、不安感と人が持ちうる当然の感情がリアルに描かれる。そしてその中に垣間見える『今に見ていろ』感と著者の現在の状況がマッチして何やら救われる気がする。 | ||
| 2009年 8月 |
青春夜明け前 | 重松清 | 友情や恋心や性への興味など小学生高学年から中学生の男子のアホさ加減がユーモアたっぷりに描かれるがそれが真実であることはきっと否定できない。中高生それから大人(特に男子)にとっては抱腹ものの短編集。あの頃はくだらないことばかり気になった。けれどもあの頃はそれがすべてだった。そう思うとやっぱり大人になったのか、あるいは昔になっただけなのか。いずれにせよどの作品もどことなく切なく懐かしい。 | 2010年 南山中学女子部(タツへのせんべつ) | |
| 2009年 3月 |
プリンセストヨトミ | 万城目学 | 『五月末日の木曜、午後四時のことである。大阪が全停止した。』で始まる奇想天外な発想の長編小説。ここまで無理な設定を笑いとユーモアを散りばめながら、大真面目に描いたストーリーはそうない。東の東京に対する西の大都会大阪。この街には強烈なまでの個性とキャラクターがあり、こと『笑い』に関してのエンターテイメントは日本を席巻している。『何でやねん』、『誰がじゃい』などの日常会話はこの街の人々の生活を円滑にし、意図せずともエンターテイメント性を持たせている。そしてお好み焼きなどに代表される『食』。まさに『歓楽』の街、大阪だからこその面白さ。そしてこの一見荒唐無稽な設定において、そこに人々の情熱と愛情がほとばしっていることでむしろ、訴えるものがある。 | ||
| 2008年 12月 |
夕映え天使 | 浅田次郎 | 何とも切なく感傷的な短編集。東京の片隅の80歳の父とその息子が営む中華料理屋が舞台の表題作『夕映え天使』、三陸の寂しい漁師町で定年間際の老刑事が一人旅の最中に遭遇する出来事を描いた『琥珀』、東京オリンピックの頃の東京が舞台、戦争で負傷して復員した祖父、同じ家屋に住むわけあり風の若い主婦との出来事を少年の視点から描いた『切符』など『平成の泣かせ屋』の異名をとる筆者の人情話6編である。 | ||
| 2008年 10月 |
とんび | 重松清 | ストーリーは昭和37年から始まる。子どもが生まれ幸せの絶頂に合ったところへ妻の事故死。父子二人の生活が始まる。この小説は父子の成長記ともいえる。ここでは不器用な父親が描かれるが人というのは誰しも不器用なところがあると思う。愛情をストレートに伝えられないのはもどかしいが愛情とは素で語れるものでもない。周辺人物もそんな人たちが多く登場する。人間の心情というのは難しいものだ。父と息子だけではなく母と娘でもきっとそういうことはある。舞台の広島の方言の荒っぽさが豪快で明るくそしてどこか切なくて暖かい。 |