ラムズホーンは爆殖するのか?
結論から言えば、爆殖しますが、噂で言われるほど、醜悪な爆殖はしません。どうも、ネットでの書き込みが一人歩きして、都市伝説並におかしな話が流布してしまっているようです。
噂としてはこんな感じ。
「ある日、水草を買ってきて水槽に入れてみると、小さな貝が何匹かいた。しばらくするとだんだん大きくなっていき、そのうち卵を生み出した。かわいかったのでしばらくそのままにしておいたら、あれよあれよという間に殖えだして、あっという間に数千匹になってしまい、今はいくら駆除しても全然減らない。ああ、最初の頃に始末しておけばよかった・・・」
こんなことが話ではよくでて来るんですが、でも、実際、全く意図しない爆殖が長期間続くなどと言うことがあるでしょうか? HPやブログをいくらか探してみましたが、そのような噂が現実となったような話は見つけることができませんでした。逆に、一度殖えたけどいつの間にかいなくなってしまった、とか、爆殖させようとしてもなかなか殖えない。殖やし方を教えて欲しい。いつもいつの間にかいなくなってしまう。といった話の方がたくさん見つけられる。
結論を先に言うと、「意図しない爆殖の長期化」は嘘です。あり得ません。じゃあ、何でそんな噂が立ったのか。それは「『一時的な』意図しない爆殖」が実際おこるからです。ラムズホーンを飼ったことがない人が一時的に殖える現象に合うと、そのままずっと増え続けるのではないかという錯覚に陥り、とんでもないことになりはしなかという不安から、そのような都市伝説が生まれたと予想されます。都市伝説はいつも不安の中から生まれるものですから。
もう少し、この「意図しない爆殖」について検証してみましょう。
もちろんここでは「意図的な爆殖」は問題にしません。時には爆殖させようとしてもしないことも多々あるのですから、爆殖を故意にするためにはそれなりのことをしなければなりませんから、自然な爆殖とは全く違うのです。
まず、ネット上で爆殖しているという水槽の画像をいくつか見ることができますが、共通した事柄がいくつかあります。
まず、割と小さいものがたくさんいる。完全な成体の爆殖水槽というのは見たことがありません。
爆殖しているというブログを書いている人の多くが初心者、または、はじめてのラムズホーン飼育、水草水槽を最近始めたという人などで、経験豊富なアクアリストやラムズホーンを好きで飼っている人はほとんどいません。なぜそうなるかは、理由は簡単。バランスの取れた水槽では爆殖が起こらないからです。
爆殖水槽としてあげられている画像では稚貝や幼貝がほとんどです。これが爆殖をひもとくヒントになります。
初めてラムズホーンを飼う人の多くが数匹から始めるでしょう。さほど興味がなくても買い始めたものは大切にしますよね。で、つい多めに餌を与えてしまう。これが爆殖の始まりです。まずは小さなバランスの崩れが起きる。ラムズホーンは餌を与えれば与えただけ成長します。そして餌が多いほどよく卵を産みます。若くて元気な貝なら、2日に1度のペースで産んでもおかしくありません。5匹もいて1週間もすれば、中に十数個から三十個ほど卵が入った卵塊が20はあるはずです(実際はもっとたくさん産みます)。単純計算で300近い卵が生まれたことになります。そして十日もすれば次々と小さなラムズホーンたちが誕生してきます。その小さなラムズホーンたちは、親に与えた多めの餌のおこぼれや、少しバランスが崩れて多くなったバクテリアを食べてどんどん成長します。しかし、その稚貝を補食したりする生き物がいないところでは数を減らすことなく成長を続けるわけですから、最初は小さくて見えなかった数百と言う稚貝があっという間に目に見えるようになります。ほんの数週間前まで数匹だったものが見る間に数百になれば誰でも「爆殖」と感じるでしょう。
しかし、それは長続きしません。一時的なものなのです。大きく育った稚貝たちはもちろん大量の餌を必要とします。飼ったことがある人ならわかると思いますが、意外なほど彼らは大食漢です。同じ大きさの魚の2から5倍は食べると思って間違いないでしょう。しかし、意図的に増えた稚貝に餌を与えなければ、大量の貝たちは、あっという間に水槽内の食べられるものを食べ尽くしてしまいます。そうなれば今度はどんどん数が減っていきます。そして、結局はその水槽でバランスが取れる数まで減り、その後は増えず減らずの状態に落ち着くようになります。
ここまで説明すればおわかりと思います。爆殖は意図しなければ一回で終わりです。永遠に爆殖を続けることはできません。意図しない限り!
ここまでの説明でわかると思いますが、いきなりラムズホーンが爆殖状態になるということは、本来の水槽のバランスが崩れている証拠です。大抵の場合餌の与えすぎです。ラムズホーンがどんどん殖えて困るという人は、ラムズホーンの退治を考える前に水槽のバランス、餌の与える量や生体の数などを一度考え直してみるべきだと思います。
しかし、問題がでる場合があります。減り始めたときにそれが止まらず、全滅してしまうことがあります。この原因ははっきりしませんが、たまに(珍しくはないと言う程度)起こり、そのために殖やそうと思っても殖えないと言う話がでてきます。
しかし、アクアペットの一員として飼っている人にとっては全滅させるわけにはいきません。ですから、数をコントロールする必要がでてきます。そのためには確実に繁殖させ卵から稚貝を育てる技術が必要になってくるわけです。
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ラムズホーンの卵。 正確には卵塊です。ゼリー状の膜の中に数個の卵が入っています。画像のものはまだ6mm程度の小さなラムズホーンが産んだ卵で、それでも12個の卵が入っています。成長したラムズホーンの場合、50もの卵が入っていることも珍しくありません。 そのような卵塊から一斉に違いが生まれたらあっという間にすごい数になってしまいます。水槽の壁面や水草にこれらが無数に産み付けられていたら、誰しも、水槽の中がラムズホーンでいっぱいになってしまうと錯覚してしまいますね。 右は同じ卵塊が孵化したところ。26度で10日ほどで孵化します。 |
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生まれたての稚貝。 点にしか見えませんが、よく見ると生意気にひげまであります。 爆殖前段階では、これが水槽の至る所に見られるようになります。 |
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これらがいわゆる「爆殖」の正体。 ほぼ無数といえるほどの稚貝が至る所にいます。この水槽は40センチ規格水槽ですが、数千は下らないでしょう。 で、これらがすべて1センチを越えるような貝にまで成長するか?といえば NOです。 3週間たって、3mmまで成長したラムズホーンは結局数えるほどしかいませんでした。残りはすべて消滅。この水槽にはミナミヌマエビが同居していましたが、この間、特に変化はなし。稚エビが少し大きくなっただけで、エビは一匹も落ちていませんし、この稚貝の親であるブルーラムズホーンも変化はありません。 もし、この状況で1ヶ月後に100匹もの大きなラムズホーンが成長したらな、明らかに餌の与えすぎで、遠からず崩壊する可能性がかなり高い水槽だと言えます。 |
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